出来た人間なんかじゃない
今になってようやく、先輩に褒めてもらえるようになり、同輩から認めてもらえるようになり、後輩から慕ってもらえるようになってきた。
ようやく、なんて言い方はこれまでずっとそうしてくれてた人に失礼になるのかもしれないけど。
でも、24年の中で見てみるとやっぱり、ようやく、っていう感じ。
まだまだこれから先ももっとそう思ってくれる人が増えたらいいなとも思う。
人に評価してもらえることはすごく嬉しいし、生きてる実感があります。
その人の目には確かに僕が映っていることになるから。
バンドをやるまで、今に至るまで、沢山の人に評価をしてもらえることなんて多くはなかったと自分では思ってて。
吉野竜矢っていう男はほんとにごく普通の、ただ少し背が高い人間。それだけだった。
みんなの人気者であったわけではないし、みんなの笑顔の中心にいたわけでもないし、誰よりも勉強ができたわけでもないし。
なんなら気は弱くて、静かで、内気で、泣き虫で。
そんなどこにでもいるような、大勢の中の1人でした。
それが今、バンドでボーカルをしてて。ステージに立てばそこにいるみんなが僕の声を、歌を聴いてくれる。
あの頃ほとんど届くことがなかった僕の声は、あの頃よりは多くの人に届くようになりました。
空腹絶倒のボーカルの僕を知っているみんなは、僕のどんな部分を認めてくれているのかわからないけど、ステージに立っていないときの僕は、みんなの知る僕より全然出来た人間なんかじゃない。
そんなセリフはこれまでいろんな人が言ってきただろうけど、どうやら僕も同じでした。
みんなが思うよりは全然できた人間じゃないと思うし、胸を張って誇れるような生き方をしているわけじゃないんだけど。
そんなみんなと何ら変わらない平凡な僕が、生きてる間に考えたり感じたりしたことを、僕の歌や曲や、文章で伝えていけたらなって思います。
みんなの中に僕がいるうちは、できるだけ沢山、伝えられたらなと思います。
できるだけ沢山、遺せたらなと思います。